一喝されて退散した騎馬武者の怨霊

昔、松山市内では馬に乗った武士の怨霊が出たそうです。

三木寺城主の犬坊が戦で死に、その亡霊が馬に乗って現れた。それを見ると病気になるという。殿様の使者が来て立ち去るように怒鳴ると、白紙のようなものが東に飛び去り、その後そういうこともなくなった。

犬坊の霊 | イヌボウノレイ | 怪異・妖怪伝承データベース

三木寺城というのは御幸寺山城みきじさんじょう(三木寺山城)のことで、愛媛県松山市にあります。松山といえば松山城ですが、近いところにあります。

さて、この話の出典ですが。こちらの53コマ目にあります。内容も要約された通りのものになります。
予陽郡郷俚諺集 – 国立国会図書館デジタルコレクション
怨霊と化して祟っている割には、一括されて去ってしまったというところで、なんだかチグハグな感があります。亡くなってから時間が経ち、祟るためのエネルギーが切れかかってたのでしょうか?

少々補足しますと、ここには犬坊の素性として二説が載ってあります。
ただ、一つ目の工藤祐経の子とある方は、子である工藤祐時の幼名が犬坊丸、あるいは「犬房丸」であることからの混同ではないかと思われます。工藤祐時の経歴から見ても、松山とは関係なさそうです。

また、白い紙の飛び去った先が石手寺山の山上で、今の愛宕堂とあります。もっとも、本が書かれた当時の話で、現在の石手寺に愛宕社はあるようですが、それが当時のものと同じかは分かりません。

城跡自体はあるらしく、松山観光の折には行ってみるというのはいいかもしれません。

今回の場所はこちら


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