お茶子地蔵──蛇と娘の話

 観音正寺のある衣笠山に、お茶子谷というところがあり、お茶子地蔵と呼ばれてる1mほどのお地蔵様があります。お茶子というのは女性の名前ですが、伝わっている話は2つあります。

お茶子地蔵に手を合わせる

 1つ目は、佐々木氏の側室になった女性の話。
 お茶子は美人で知られていた豪族の娘。この辺りを支配していた佐々木(六角)氏の殿様の側室となった。殿の寵愛を受けたお茶子だったが、他の女達から妬まれ、換言されることになる。
 殿はその話を真に受け、お茶子を岩屋に閉じ込め、蛇と一緒に入れるなどの責めを行った。やがてお茶子は非業の死を遂げ、その恨みがこの山に住むブトに化身したと言われている。

 もう1つは、お茶子は里の娘であるというもの。
 お茶子のもとに、身分の高い若者が通ってきた。伴のものも連れていないので、両親は不思議がっていた。
 男が通いだしてから、お茶子がみるみるやつれていった。占い師に見てもらった所、家の隙間を塞ぎ、これで裾を縫うようにと、針を渡された。
 夜、お茶子は男に今夜が最後と別れを告げられた。お茶子は針で若者の服を縫ったが、二人の行方は分からなくなってしまった。
 翌朝、木こりが大蛇が死んでいるのを見つけてきた。針は刀に姿を変え、大蛇を刺していた。そして、お茶子も大蛇に巻かれて亡くなっていた。

 2つとも、お茶子が亡くなっていた場所をお茶子谷と呼び、供養のために建てられたのがお茶子地蔵というところは同じです。また、蛇が関係しているのも同じです。
 2つ目の方は、三輪の神話に似ていますね。
神話に描かれる三輪山──大物主神の物語|大神神社キャンペーン|キャンペーン・ポスターギャラリー|うましうるわし奈良|JR東海

こちらではお茶子谷の民話が見られます。
民話でたどる滋賀の風景/お茶子谷
FLASH対応なので、2020年末以降はどうなるかわかりません。改修されるんでしょうか。

 さて、お茶子地蔵は、山頂の駐車場から観音正寺を目指せば途中にあります。ただし、案内板などの目印は何もありません。

 こちらの駐車場から行くと、観音正寺の奥の院を先に見てから観音正寺に入ることになります。東近江市五個荘から入る道になります。
 京都や大阪から行くと、おそらくもう一つの駐車場の方が観音正寺に行くには近いのではないでしょうか。そちらは安土の方から入りますが、観音正寺を通り過ぎないとお茶子地蔵を見ることはできません。

 下から足で登るという手段もありますが、夏場はやめておいた方がいいと思います。ブトも蚊も出ますので。

今回の場所はこちら


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